腐やシッパーに捧げるジェンダーに関する一考察

タイトルだけがやたら長い。
性行為に関する言及はありますが、別にエロい内容などないので安心してください。かなり真面目な考察です。同性愛物語が苦手なのは仕方ないけど、同性愛が苦手とは言ってほしくないので、特に注意書はしません。私にとって重要な、クィアに関する真面目な考察です。


1、受け攻めの定義?
腐(この言葉も定義が曖昧すぎますが、とりあえずは男性同士の同性愛関係を愛好するひと、くらいの意味で)にとって非常に大事な用語である受けと攻め。これも大変定義の難しい言葉ではありますが、一般的には、性行為における挿入をする側を攻め、される側を受け、とするとされてるかと思います。でも、皆さん見たことありませんか?「肉体的には受けですが、精神的には攻めです」?「性行為はありませんが、~が攻めです」?定義にあってなくないですか???
もしあなたが腐のひとであれば、わたしが聞きたいのは、あなたにとって受け攻めってなんですか?ってことです。たとえばそれが先の記述の通り、挿入の主体と客体…だとして、二人の同じ性別(男性)を持ったひとを、どちらに割り当てるか、あなたは何を基準に選んでるんですか?

2、受け攻めはジェンダーではないか?
セックスとは、生物学的な性のことを言います。それとは別に、ジェンダーとは社会的な性と言われます。たとえば、女性ときいて「家庭的、包容力がある、感情的…」と言ったことを思い浮かべたとしたら、それはジェンダーです。身体とは直接の関係がないですよね。家庭的でない女性、包容力のない女性、感情的でない女性はもちろん存在します。「男はめそめそしたらダメだ」「女はおしとやかでないと」こういう言葉は、ジェンダーの役割(ジェンダーロール)を押し付けるものです。
そこで、たとえば性行為のあるBL創作物を読んだときに、性行為における役割であなたが受け攻めを判断したとしたら、それはほとんど確実に定義にしたがった客観的な?判断だと思います。でも、私は多くの腐がそういう事実ではなく、自分の萌えに従って受け攻めを割り当てているのを知ってます。私もです。たとえばもしあなたが「このキャラクターには精神的に弱いところがある、だから受け」と思ったとしたら、それは受けに対してあなたが見いだしている、社会的な役割(ジェンダーロール)なのではないですか?
このように考えてくると、受けや攻めを割り当てるとき、私たちのなかに「受けのジェンダーロール」「攻めのジェンダーロール」があるように、思えてきます。

3、受け攻めのジェンダー観の歴史?
歴史をひもとくと、受けとはこういうものだ、攻めとはこういうものだ、という感覚は、かなり変容してきたと思います。BLの黎明期(というか耽美といわれてた頃か?)は、かなり女性的…というと片寄った女性ジェンダーを感じますが、そんな受けが多かった気がします(違ったらすみませんー!!)。体格が小さく、はかなげで弱く、おだやかで優しく、美しい。逆に攻めは権力を持ち、人を支配する力があり、傲慢で、体格が大きく、受けを押さえつける。つまり、男女のジェンダーロールをそのまま男性同士に応用した感じです。でも、腐はそれをそのまま受け入れるをよしとしなかったですね。たとえばガチムチ受け、あるいは対等な受け攻め関係、もしくはリバーシブル、受け攻めのない関係。こういう言葉の裏側には、黎明期の男女のジェンダーロールそのままの受け攻め関係から脱却しようとする動きを感じます。このような動きによって、逆に「女性的な受け」を批判する人さえいたりします。個人的には、社会の偏りが是正されさえすれば、あとは個人の趣味だと思っていますが。
なんにしても、あなたが「包容力のあるほうが受け 」「快楽に弱い方が受け」「ガチムチな方が受け」何を言おうが、それは「受け」に対するあなたのジェンダー観が現れているんじゃないでしょうか?

4、受け攻めはどんなジェンダーであるべき?
これにきっと答えはないでしょう。とくに、現代はかなり受け攻めのあり方が多様になっています。これは喜ばしいことですね。
せっかくなので、よく言われる受け攻めの判断基準を挙げておきます。(適当だよ!)
①身体的特徴
体格、美醜、など
②性格的特徴
性格のよさ、傲慢さ、包容力、変態さ、プライドの高さ、など
③関係性的特徴
相手への愛のふかさ、権力構造、立場、など

どうですかね、まあこんなんじゃ収まんないくらい多様なんでしょうね。
そこでわたしが考えたいとしたら、以下の3つの問です。
・受け攻めジェンダーは、男女のジェンダーにより影響を受けていませんか?それは、男性ジェンダー=攻めなのか、男性ジェンダー=受けなのか、それは正反対に見えて実は同じことです。
・受け攻めジェンダーを固定してしまうことで、異なる受け攻めジェンダー観を持った他者を許容できなくなってはいませんか?他者は他者に他なりません。他者のジェンダー観が既存の男女ジェンダーを再生産していたとしても、それを指摘することと批判することが違うのも理解しないといけないですね。
・攻めジェンダー、受けジェンダーをそのように自分のなかで形成してきたのは、なぜなんでしょうか?それは自分のあり方にとって(良くも悪くも)とても重要なことなんじゃないですか?

5、私の受け攻めジェンダー
というところで、私はできるだけ受け攻めとか考えない!男性が二人、特別な感情を互いに抱いたらもう、それがすごく尊いんだよ!!というシッパーであろうとしてますが、それはとても難しいことで、「うああ~無理~逆は無理だからーーー」とのたうち回っていたりします。自分でもわからんよ!!なんで逆がダメなのかわかんないよ!!
ただひとつ言えるとすると、私は攻めが受けより明確に強い立場にあるのがホントにダメで、そうすると「虐待」の二文字が頭をよぎります。どうやら私は、力をもって他者を征する者=性行為による強者、とするのが恐ろしいらしいです。攻めは優しいひと、受けは強いひとであるのが安心できます。(あとよくわかんないけど主人公はたいてい攻めだし、過去が不幸なひとはたいてい受けなんだけど、これは主人公キャラがよくもっている性格とか不幸キャラがよくもっている性格とかが問題なのであって、主人公とか過去とかは単なる傾向だろうな…)
あなたはどうですか?


めっちゃ真面目な考察だったとおもうんですけど、どうなのかな。(笑)(笑)普段の喋りは()内に近いんで、あえてこんな口調で書くのも楽しかった。
だいぶ長く腐をやってる人には当たり前かもしれないですけど、改めて自分の固定観念を考えてみるのもいいものでした。