2017M-1 クィア考

2018年になっていまさらですが、備忘録として連続アップだよ!

まずは2017のM-1

 

ジャルジャルの福徳さんのM-1での様子がエモいと大評判ですが、そんな福徳さんが「誰も傷つけない笑いをやった」と言ってたらしいので、急遽えむわんクィア考をやらないといけないと思い立った。(前置き長い)
ちなみに、ここでのクィアは「LGBT」「セクシャルマイノリティ」のみをさすものではなく、広く「奇妙な」「風変わりな」とされるものを、「どう笑ってきた、笑っているのか」という観点で見ています。とはいえ基本は単なる感想だよ!あといわゆる腐的な嗜好がちょいちょい漏れてるよ!




ゆにばーす「泊まりの営業」
初見のコンビ。川瀬名人のキャラ好き!「エムワン優勝したら芸人やめる」というほど尖ってて、「性欲ない」とか自称してて、自分のファンだった女性を彼女にしてるっていう…。中身が普通に真面目な好青年を予感させるところもいいね!(良さが伝わりにくい、表現下手かよ…)
南海キャンディーズ感(ツッコミ男性に特異な才能があり、ボケ女性の特異なキャラが活かされてる)があるんだけど、彼らより仲が良さそうというかほのぼのしてる?かな?
普通にめっちゃ面白かった。男女コンビでよくある恋愛ネタじゃなかった、って大吉先生がラジオでおっしゃってたのですが、ほんとそれ。一階という設定を忘れかけた最後にオチとして効かせててうまいなー。
そして川瀬名人がはらちゃんをこきおろしてても、コントと違って二人がそれぞれの素という設定なので、二人ってこんな関係なのねーと見れるというか。セクシズムを感じなかったですね。男女で同じ部屋に泊まるという設定でここまで性的な香りがないのすばらしくて、そういう点でも好き。ある意味、男女に性的な関係を持ち込まないってポジティブな意味でクィア(異質)かもしんないとか思ったり思わなかったり。これから注目したいです。


カミナリ「一番強い動物」
うーん、と。たぶん、ボケの内容は面白いんだよ。「熊突き落とすやつが強い」「警察は裸のお前を捕まえに来てる」とか。ただ、なんかテンポが悪く感じてのれなかったなー。「うん?」ってとこあった気がした。「自衛隊にハンマーのイメージ無い」とかも、まあ、言われてみれば…。くらいの反応になってしまった。でも「自分が悪いのに叩いちゃダメだよ」は好き。そう来たか。ネタ的にはひたすら動物のこと言ってるので、クィア批判なところは無かった気がする。あと、上沼さんに「どつくのは必要?」と批判されたカミナリが待機席で映されたときに逆になでなでしてたの笑ったし萌えた。


とろサーモン「旅館」
ボケの久保田さんがところどころ何言ってるかわかんないんだよな(意味じゃなくて、聞き取れない)。ツッコミの村田さんはすごく滑舌がいいんだけど。このネタは正直、あんまり好きじゃない。久保田さんを「こんな女将おるか!?」と言うのもよくわかんないし、床にチャーハン落ちてるのもよくわかんない。自分の常識にピンと来ない。続行継続は好きだけど、この手のメタな漫才(漫才のお約束を裏切る)が新しいわけでもないし…。とりあえず「どんな女将がいないのか」ルッキズムその他を想像させている気がしてしまいます(遠回し)。


スーパーマラドーナ「合コン」
田中さんがコントに入って、武智さんがその世界に入らずに突っ込んでいくスタイル。いちいち田中さんが失礼で空気が読めないというボケなのだが、なんか毒気のあるボケがツッコミで中和しきれてない気がする。私だけかも。しかしそもそもがルッキズムの塊のようなネタだし(そもそも題材からして)、オネエのテンプレ的表現もアレだし、そういう観点からいうとモヤモヤするネタです。ツッコミの武智さんがうまいから笑わせられちゃうと思うけど。


かまいたち「怖い話」
あ、これ山内さんのキャラ使うやつ(と私が思ってるやつ)。顔を指差されるのにビビらないシーンとかほんと怖い。私の中の山内さんが、あれ。漫才だから本人のキャラなの当たり前だけど。
私はこれ、特に前半がすごく好き。怖い話にイライラする、という山内さんの指摘はほんとその通りなので。でもなんか、終盤は卍にハマるかハマらないかになってる。クィア関連的には、卍を額に刻んでる大男、というイメージの使い方に若干の違和感を覚えるかな。


マヂカルラブリー「野田ミュージカル」
久しぶりに見たけど、初っぱなから「のーだーです」をちゃんと入れてきててしみじみした。私たぶんすごい好きなシュールだと思うんだけど、序盤を真剣に見てないと世界観に入りきれなかった。クィア的にどうこう思うこともなく、今後逆に売れてくれたらいいな。


さや香「うたのおにいさん」
初見のコンビですが、あー、ね!このノリ好きだわー。なんか、さらば青春の光のコントにときどきある、ピュアな東口さんを見てる感じ?(あちらの方が毒に満ちてるけど)  ピュアだから仕方ない!みたいな。もうとにかくノリでつっぱしってるんだけど、微笑ましくて笑っちゃう。ただ歌歌ってるだけだし、クィア的に思うところは無し。これからも注目したいです。


ミキ「漢字の書き方」
去年くらいから名前をよく聞いて、人気あるかんじがしてました。でもちゃんと見たのは初。純粋なしゃべくり漫才ツッコミのお兄ちゃんの滑舌がやや悪いなーって気がするんだけど、ボケの弟くんが聞き取りやすいからまあいっか。「書いてるから見て!」のくだりを何回もできる心臓の強さ。体で漢字かいてたらいいかんじにダンスっぽくなるあたりとか、すごい発想だなーと思った。ひたすら漢字かいてるのでクィア的に思うところは無し。


和牛「ブライダルプランナー」
和牛の不条理、正直イラッとしなくもないんだよな…。和牛って今回唯一の完全なコント漫才でしたね。他のって、少なくとも片方は素を残したり、素の二人の会話を結構入れてるんですよね。とろサーモンはちょっとコントに入ってたけど。で、まあ序盤の伏線を終盤で回収するパターンなんだけど、ことごとく新婦の言うこと聞いてないウェディングプランナーに腹立ってしまう。面白いんだけどね。ジョブズとかすごいけどね。クィア的にはこの時点ではセーフ。しかしプランナー仕事しろ。


ジャルジャル「校内放送」
いとおしい…(ちょう主観的で関係無い感想)。あのくっそくだらない(好きな人すみません)「オバハン」のネタをキングオブコントでやったときからある意味変わらないと思ってたら、冒頭で述べたみたいな方向性に変わっていたことに驚いています。ぶっちゃけ言うとジャルは推してるのです。でも彼らの方向性がコントなのかなあと思ってたので、まさか漫才を追求する気があったとは、そんでもって冒頭みたいなことを考えてたとは…。だって、オバハンオバハン言ってたり、「角刈りのくせにクラスの中心になろうとするやつ」みたいなコント作ってるコント師なんですよ?でも、そういうの作っていろいろ言われたことで思うところあったのかもしれない…。正直、あの、ネタとしてはめちゃくちゃ面白いかは微妙なんだけども、でもほんとに教室でアホやってる学生感がすごく好きで、そんで、「よしよしすんな!」って言ってた後藤さんが最後、「こんなに頑張ったんだからちょうだいよ!」って自分からよしよし求めにいくオチ、めちゃくちゃ良くない?ものすごい萌えじゃない??もうこのオチだけでお腹いっぱい。好き。関係無いけど、昔番組で買ったおそろのスーツかわいい。黒Tとカーキパンツのコント師とはまたちょっとイメージが違っていいよね…。
点数が奮わずに「審査員こしょばしたら点数延びます?」とボケる後藤さんと、「お前…よう今ボケれんなあ…」と涙目でつぶやく福徳さんの関係性に視聴者も胸を打たれる人続出。ブロマンス好きな人はさ!ここ!ここだよ!(広報)ネタも、クィア的になにも言うことはないです。


最終ラウンド
とろサーモン石焼き芋
これは…神ネタだろうね…。イモガミ様すごすぎる。スムーズにイモガミ様の不思議世界へ連れ込まれている。ひたすらネタがすごい。これは真似できないわ。オチは意味わからんかったけど。クィア的な観点は…どうだろ、宗教批判的なところかな?(でも特定の宗教じゃないしなあ、大丈夫かな)
そんでね、とろサーモンって高校の同級生なんですって。ジャルジャルもだけど。でもNSCの同期になれなかったせいでコンビは組まずにいて、久保田さんが何十組とコンビ解散してから改めて村田さんに手紙を書いてコンビ組みたいと言ったらしい。その前に一度村田さんは申し出を断っていて、その理由が「俺は久保田を甘やかしてしまうから」だったという話はホントですか!?なにその萌える話。同級生コンビに弱い。ネタ関係無い。


ミキ「スターウォーズ
ものすごい畳み掛けるようなボケとノリボケとツッコミの応酬。すごいよなー。名札付きのワルとか、すべてのテーマ曲が暴れん坊将軍に導かれてしまうとか。もうあまりにもボケが多くて一個一個が思い出せないのが難点かもしれない。そういう意味では、そんなボケある!?的な斬新さはなかったのかもしれない。クィア的な観点は特に無し。


和牛「旅館」
和牛のネタって水田さんがモラハラーだ、という指摘を見かけて、ははあなるほど、と。イヤーなかんじだよね。だいたい高圧的な客というのは、既に権力勾配を感じさせますからね。女将がメンタル強いから面白い範囲になってるけど、ほんっとに感じ悪いですよ、水田さんの役柄。それにしても二人とも演技力が高いから面白いんだよねー。これ、コントじゃなくてコント漫才であることの特色なんだけど、役柄にそった服装や見た目をしない、小道具を使わない、という漫才だからこそ想像力をかきたてられるのがコント漫才としてのすごさであって、これをコントでやったらまた違うのだよねー。とりあえず、モラハラダメ絶対だよ!


ということで。最終的に、素の二人がしゃべくりをするのが基本の漫才と、役柄に入り込んでストーリーを演じるコントでは、圧倒的にコントの方にクィア的な要素とそれへの蔑視が入り込みやすいのだと思った。(蔑視が無いのならクィアを扱うのも個人的には大歓迎なんだけど。腐をネタにされても内容によっては別にいいし…。)
だから、それを突き詰めたら二人が言葉遊びをするというジャルジャルの方法に至ったのかもしれないけど、誰も傷つけない笑いはもうちょっといっぱいあるんだと思う…。
今回のエムワンいっぱい面白かったけど、おジャルのネタすごい萌えるし、おジャルがそもそも萌える二人なので、これからも期待してる…。って、そこかい。